私の場合は、勝てば褒められ、負けると叩かれる。
そういう世界で生きてきたから、叩かれても大丈夫なように精神的にタフになるしかないですね。
負けると必ずマスコミに悪口を書かれるんです。
でも、しょうがないと思うしかないですよ。
人生というのはそういうもんだ、世間の評価とはそういうもんだ、と。
要するに、負けたのが悪いんです。
勝てば褒められるのですから。
それと、逆境のときは笑うことなんです。
これは非常に大事ですよ。
将棋で負かされるは、人に悪口を書かれるは、今まで親しくしていた人まで手のひらを反すようになるは、という状況ですからね。
癪(しゃく)に障(さわ)るじゃないですか。
そういうときに怒ったり、ひがんだり、腐ったりするのが人間の常だと思います。
でも、そうすると余計だめになってしまう。
だから、笑うんです。
また、笑うためには、その前に無心になることが大事です。
一度自分をそういう状態に置いて、そして笑う。
寄席に行って落語を聞いてもいいし、水戸黄門を見てもいい。
将棋の米長邦雄氏の『生き方の流儀』(渡部昇一・米長邦雄)致知出版社より抜粋
逆境を笑い飛ばせるぐらいでありたいですね。