先日、訪問販売をしている女性が
インターホン越しに一所懸命何かを説明しているのを道端で見かけました。
断られてしまったようで、インターホンを勢いよく切られる音が響いていました。
しかし、その女性は
インターホンに向かってゆっくり深々とお辞儀をしたのです。
もちろん、その姿は相手には見えていません。
ただその姿に、時間をさいて聞いてくれた相手への感謝の気持ち、
それと同時に彼女の仕事への誇りを私は感じました。
一瞬のしぐさに心を打たれた瞬間でした。
あるとき、後輩のMちゃんは、
カーテンで仕切られた場所で担当の仕事をしていたのですが、
そのアナウンスが流れたとき、しゃがんでいたのを立ち上がり、
お客様がいるほうを向いてお辞儀をしました。
当時ほとんどのCAは、
カーテンの中で仕事をしているときはお客様に見えないので、
アナウンスに合わせてのお辞儀などはしていませんでした。
それだけに、誰も見ていないところでも深々とお辞儀をしているMちゃんに、
私は衝撃を受けました。
元CA、三上ナナエ氏の『「気遣い」のキホン』(すばる舎)より抜粋
人に見える、見えないにかかわらず、
「お辞儀」ができる人の人柄、想像できますね。
お茶の世界の「余情残心」を、思い出しました。