フランスの哲学者アランの名著『幸福論』に、
「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」とあります。
悲観主義のほうが知性的であるとして重きを置く向きもありますが、
アランはその深い人間洞察により楽観主義の本質を鋭く捉え、
人の生き方に示唆を与えてくれています。
アメリカの経営学者ピーター・ドラッカーは、決断に際して四つの優先順位というのを説いています。
第一に、過去ではなく未来を選ぶ。
第二に、問題ではなく機会に焦点を合わせる。
第三に、横並びではなく独自性を持つ。
第四に、無難で容易なものではなく、変革をもたらすものを選ぶ。
そして、この四つを選ぶのは見識ではなくリーダーの勇気であると主張しています。
この勇気こそは、楽観主義の最たるものといえます。
生前懇意にしていただいていた大平正芳(おおひらまさよし)元総理は、
「淡(たん)にして事を成し、甘(かん)にして事をこわす」という言葉を残されました。
淡々と着実に事に当たれば成功するが、甘くなれば失敗するという意味です。
"厳"ではなく"淡"という言葉を使われたところに、大平さんの深い洞察が感じられます。
楽観主義が陥りやすい欠陥は、甘になることです。
ウシオ電機会長、牛尾治郎氏の『月刊致知 2014年7月号』"巻頭の言葉"(致知出版社)より抜粋
イギリスの名宰相、ウィンストン・チャーチルの言葉
「悲観主義者はあらゆる機会の中に問題を見出す。
楽観主義者はあらゆる問題の中に機会を見出す」
悲観主義者、楽観主義者それぞれの能力、良さがあるのだと思います。