午後1時すぎになって、セーラは空腹を感じ始めた。
朝から数時間ずっとデスクワークに励んだので、近くの喫茶店で軽食をとることにした。
数分後、サムが同じ喫茶店に入ってきた。
彼も昼休み中だった。サムはセーラのすぐそばに腰掛けた。
その日、同じウエイトレスがセーラとサムに給仕した。
ウエイトレスが注文を聞きに来るまで、どちらの客も同じくらい待った。
きちんと調理されたおいしい食べ物がどちらの客にも出された。
勘定書きがどちらの手元に届くのにも同じくらいの時間がかかった。
しかし、状況が似通っていたのはそこまでだ。
セーラは笑みを浮かべ、足取りも軽く、世の中に対してとてもポジティブな気持ちで喫茶店を出た。
その様子は誰が見ても一目瞭然だった。
楽観主義が全身からあふれ出ていた。
セーラは楽しく昼食をとり、ウエイトレスと楽しい会話をし、充電を終えて仕事に戻った。
その反対に、サムは苦虫をかみつぶしたような顔で喫茶店に入ってきた。
猫背で不自然な姿勢。
「オレに近づくな」とでも言わんばかりのピリピリした雰囲気。
ウエイトレスがすぐに注文を聞きに来なかったとき、彼はとても不愉快だった。
注文した食べ物がなかなか来ないのでイライラした。
出された食べ物について不満を言い、清算がもたついたことで激怒した。
セーラとサムは同じ喫茶店で同じ態度で対応されたのに、なぜこんなに違う経験をしたのだろうか。
その理由はこうだ。
セーラは世の中に対してポジティブな心の姿勢であったのに対し、
サムはネガティブな心の姿勢に固執していたからだ。
ジェフ・ケラー氏の『できる人とできない人の小さな違い』より抜粋。
ある人にとってすごく価値のあるものでも、別のある人には全く価値がない、ということはよくある。
楽しいことも、怒ることも、感謝も、ゆるすことも人によって価値観、許容範囲が、みな違う。
ある人は怒ってしまうことでも、ある人は冗談でもいいながらニコニコしていられるのでしょう。