何をやってもうまくいかないことがある。
たとえば仕事でミスをし、気分転換に酒を飲んだら悪酔いして電車を乗り過ごす。
やむなくタクシーで帰宅したら財布は空っぽ。
そこに家族の罵詈雑言が降り注ぐ...。
「ああ、自分の人生はツキから完全に見放されている」と嘆きたくもなる。
そんな時、どうすれば気分をすばやく好転させられるのだろうか。
ここは逆発想が有効だ。
「こう悪いことばかり続くのは、何かとてつもなくいいことが起こる前兆に違いない」
と考えるのだ。
人生はうまくしたもので、不幸一色に塗りつぶされる一生などというものはない。
底に沈めば、それだけ大きな浮力もつくものなのである。
うまくいかない今を「いいことのための準備期間」と思えれば、気分は上向くことを忘れないでほしい。
悲観的になった時は、先のことより目先の楽しみを思い浮かべるといい。
気持ちがめいっている時には、明るい未来など思い描けるわけがないのだから、それはあきらめてしまおう。
そして、日々のささいな楽しみに目を向けるのだ。
風呂あがりの一杯のビールのうまさ、何度観ても飽きることがないお気に入りのビデオ...何でもいい。
それに没頭し、ささやかでも手応えのはっきりした幸福を味わうのだ。
ビールをあおったら、多少オーバーに「ああ、うっめぇ!」なんて言ってみるのもいいかもしれない。
それで苦しさが一瞬でも遠のけば、首尾は上々。
そんな小さなことの繰り返しが、悲観の迷路から抜ける道筋の発見につながるのである。
精神科医、齋藤茂太氏の『心をリセットしたいときに読む本』(ぶんか社文庫)より抜粋。
幸せと不幸は交互にやってくると言われます。
過去を振り返ってみるとそんなものですね。
そして、その不幸が後の幸せに繋がっていくことありますね。