江戸中期の医者・中神琴渓(なかがみきんけい)の話を集めた『生生堂雑記』に、こんな話が載っている。
昔、洛陽に一人の病人がいた。
長いこと、いろいろな医者に治療を受けたのに、少しも良くならない。
それどころか、医者を変えるたびに、ますます身体の具合がおかしくなっていった。
そんなにして十三年も経つうちに、病人は薬を飲むのがつくづく嫌になり、あるとき勝手に薬をやめてしまった。
すると、かえって身体の具合が良くなり、長年の病気が二ヶ月ばかりですっかり良くなった。
その病人が言いうには
「班固(はんこ)という人が、『病気になっても薬を飲まなければ、まともな医者にかかったのと同じことだ』と言っているが、全く本当だね」
そもそも、病気というものは、百人のうち八、九十人は自然と治るものだ。
だからこそ、医者はもっともらしい顔をして商売ができるのだ。
軽い病気を重くしてしまう医者がいなくなれば、天下の病人の八割は減るだろうと、すでに江戸時代、中神は医原病を見抜いていた。
最近は、一緒に食事をすると何種類もの薬を飲む人が多くて驚かされるが、あまりにも薬に頼り過ぎる現代人にとって、この話は一つのアンチテーゼではなかろうか。
太田典生氏の『毎朝「一話」出勤前に読む本』(三笠書房)より
全部の病気に当てはまるか疑問ですが、知り合いの薬剤師2人とも口を揃えていうのは、「そもそも薬は毒。極力飲まない」という。
自身の治癒力、生命力を高く維持することが大切という。
住まいは、そんなことにも関係、影響しています。良い住まい環境、気持いい快適な環境。
住まいを元気に、住まいから元気に!