相談に来られた方がいます。
それは二人の女性で、奥さんとそのお母様ということでした。
お母様は70歳を過ぎてもしっかりしている。目が見える、自分の足で歩ける、という健康体です。
しかも、二人の子供は、それぞれ元気で大学へ通っていて、
優秀で奨学金をもらっている特待生とのこと。というふうに、
一つひとつ挙げていったら、実はものすごく恵まれていました。
そして、夫は植物状態になった時、死
んではいないのに、保険金が満額おりた、というお話でした。
だからそれによって2年間、奥さんはどこにも勤めることなく、
生活費も医療費もすべてまかなえている、とのことでした。
ただ未来が見えてこないので、「つらくてしょうがない」と言っているのです。
でも、今のような見方をしたら、ものすごく恵まれていように見えませんか?
その恵まれていることに目を向けないで、
つらい、悲しいほうへばかり目がいって、
それについて「つらい、悲しい」と言いつづけた結果、
楽しいことがひとつもなかったのです。
さらに、私はもうひとつこんな話を聞きました。
このご主人に、毎日のようにお見舞いに行っているそうですが、
「早く目覚めて。早く私たちのこのひどい状態をなんとかして。
あなたが私たちのために働いてくれないと、私たちはどうにもならない」と
2年間ずっと言いつづけてきたそうです。
私がもし寝たきりの夫であったならば、
仮に意識が戻っていたとしても、目を覚まさないと思います。
だってそうやって愚痴や泣き言、早く私たちを楽にしてよ、困ったことがたくさんあって...
ということばばかり聞かされていたら、楽しいわけはないし、
体じゅうの細胞や脳神経だって、活性化しません。
そうではなく、たとえば「3月になって、梅がすごくきれいに咲いてますよ。
4月になったら、桜が咲きましたよ。今年は特にきれいですよ。
5月はツツジ、6月は花菖蒲、7月はユリ...。
そしてだんだんと木々の葉っぱが色づく季節になりました。
こんな楽しいことがあって、きれいな景色があって...」ということを、
話して聞かせてあげたらどうですか。
人間の意識というものは、細胞の中に包まれています。
ですから、細胞(容れ物)がちゃんとしてくると、
魂もちゃんとしてピュアになってくる可能性がある。
「はじめに言葉ありき。
言葉は神とともにあり。
言葉は神なりき」という聖書の一説は、
「発した言葉によって、またそれを言いたくなるような現象が降ってくる」
という宇宙の法則だったということが、
このレポートによって実証されました。
実は私たちの発する言葉は
「打出(うちで)の小槌(こづち)」だったのです。
おとぎ話の中にでてくる打出の小槌は、
ほとんどの人は「そんなものあるわけない」と言うと思います。
私もずっとそう思っていました。
しかし、本当にあるということが、わかってしまいました。
「こうすると、こうなる」という宇宙方程式であり、
自分の発する言葉によって、自分に降ってくる現象を作っていることがわかったら、
打出の小槌を持っているようなものではないでしょうか。
私たちは宇宙の「打出の小槌」を使いこなせるのです。
小林正観さんの『究極の損得勘定 2』(宝来社)より抜粋
宇宙の「打出の小槌」をうまく使いたいものです。
そのためには、自分の言葉、口に出す言葉のみならず、
心の中でつぶやく言葉にも注意したいものです。