「女性落語家第一号」と名乗らせていただいています。
いまは上方だけでも十五人の女性落語家がいて、現在は上方落語協会の「上方笑女(しょうじょ)隊」の隊長も務めております(笑)。
修行時代、三年間は内弟子として一緒に暮らしていましたが、
よく「うちではええけど、よそでやったらあかんで」と言われることがありました。
でも、それは「うちでもやったらあかんで」ということなんです。
それから「先繰(さきぐ)り機転(きてん)」ということもよく言われましたね。
「俺が考えていることを読めへんかったら、何百人のお客さんの前で喋(しゃべ)られへんで」と。
この教えがどれだけ大事か、自分が弟子をとるようになってよく分かります。
毎日一緒にいて怒られ教えられていく中で、
師匠はこういう時、こうするんじゃないか、こうしてほしいんじゃないか、と見抜ける子は伸びるのが早いです。
逆に、見抜けない子というのは、結局全部自分の寸法でやってしまいます。
そうなると、高座に上がってもお客様の反応よりも、自分のやりたいようにやってしまうことになります。
師匠は絶対に意地悪で叱っているわけではないですから。
この子に必要だと思って教えていることを、分からないなりにも自分を殺して素直に聞ける子は、
次第に先繰り機転も利くようになるし、伸びるのも早いと思います。
やはりそうやって弟子を指導するようになり、さらに師匠のありがたさを感じるようになりました。
落語家、露の都さん"女性落語家第一号。道なき道を切り拓いて"『月刊致知 2014年9月号』(致知出版社)より抜粋
「先繰り機転」初めて聞いた言葉です。
人の気持ちがわかる、機転、気の利く人でありたい。