脳のコンピュータは、言葉の意味を読み取る機械です。
考えていることも、しゃべっていることも、全部、言葉の意味を読み取り、
体を使って表現しようとします。
ここで覚えておかなければならないのは、
このコンピュータには人称がなく、
言葉の意味を全部、自分のこととして読み取ってしまうということです。
つまり、内容にかかわらず、
言葉を使った人にすべてが反映されるようにできているのです。
ですから、
どこかで見てきた、とてもつらい話をしていると、
自分がつらい体験をしたわけでもないのに、脳のコンピュータは、
それを読み取って、話している人を悲しくさせます。
他人の話でも、話をしている当事者の出来事として読み取ってしまうからです。
さて、このような脳のコンピュータの特徴を、もう少し具体的に考えてみましょう。
たとえば、女性が二人で話をしていたとします。
そこでAさんがBさんに、「Bさん、いつもきれいねえ」といったとしたら、
この言葉に誰が反応するのでしょうか。
「きれいねえ」といわれたBさんに反応するように思われますが、実は違います。
Bさんのことをほめているにもかかわらず、
その言葉にAさんが反応するのです。
つまり、言葉を発したAさんの脳が「きれい」という言葉を読み取り、
体に表現するのです。
ということは、ほめられたBさんよりも、
ほめたAさんのほうが、美しく、きれいになるということです。
このように考えると、言葉は使った人にご利益があるということがわかります。
ですから、美しくなりたいと思うのなら、
まわりにいる人をほめまくればよいのです。
逆に、人を傷つけるような言葉や、呪うような言葉を使えば、
それもすべて自分にはね返ってきます。
日ごろからいい意味をもつ言葉を使うように心がけましょう。
自分がいい気持ちになれる言葉こそ、自分を高めてくれるのです。
こういうふうに、どんなことであっても、言葉に出したことは、
すべてそれを発した人間に返ってくるのです。
そう考えると、言葉というのは実に怖いものだということがわかります。
医学博士、佐藤富雄氏の『運命は「口ぐせ」」で決まる』三笠書房
人間の脳は、人称や、主語の他にも、否定語か肯定語かも認識しないと言われています。
「事故に遭わないように、気を付けて」というと「事故」を認識してしまう。