途上国の人びとにとっては、戦後の焼け野原から力強く復興した日本は、いまでも驚異の存在であり、自分の国が参考にできる点はないかと貪欲に学ぼうとしている。
「なぜ日本はゼロから世界ナンバー3に駆け上がれたのか」。
こんなに底力のある国は、世界のどこを探しても存在しない。
こうした評価はとくにバングラデシュで強い。
ODA(政府開発援助)やJICA(国際協力機構)の関係者が数多く国際貢献活動に取り組んでおり、現地の人から「あの橋をつくったのは日本人なんだろう?」と、さも当たり前のように言われたこともある。
1971年にバングラデシュが独立した際、世界に先駆けて日本が独立国として承認したことも、彼らを親日家たらしめている理由。
国際貢献活動の目的の一つは、自分たちの国のブランド力を高めるところにあると僕は思う。
もちろん僕自身も、海外にいるときに何度、日本のすばらしさ、力強さを実感したかわからない。
洪水に浸るバングラデシュの首都ダッカで、日本の都市計画の緻密さを。
険しい山間部を進むルワンダの路線バスで、日本の新幹線の快適さを。F16戦闘機の飛行音が鳴り響くガザで、日本の平穏さを。
貧困にあえぐロマ族(ジプシー)を数多く抱えるハンガリーで、日本のセーフティネットの手厚さを。
自国の通貨が崩壊している国コソボで、円の世界的強さを...。
そのとき僕は、素直に、日本のことを「すごい」と思った。
「好き」だと思った。
「愛(いと)しい」と思った。
海外でプロジェクトに取り組む仲間に聞いても、みな口々に同じことを言う。
これこそが僕たち平成生まれの、リアルな「愛国心」である。
忘れてはならないのは、僕たちがこうした想いを抱けるのは、先輩世代の長年にわたる、とてつもない努力と貢献のおかげだということ。
そのことを認識し、感謝しないことには、海外で日の丸を背負って活動する資格はないと思っている。
税所篤快氏の『ゆとり世代の愛国心』(PHP新書)より抜粋
税所篤快(さいしょあつよし)氏は、1989年生まれの25歳で、国際教育支援NGOの創業者。
19歳でバングラデシュに渡り、2014年には世界銀行本部イノベーションコンペ最優秀賞を受賞。
こんな青年に頭が下がります。
平成生まれの、リアルな「愛国心」どう感じるでしょうか?
もっと日本のすごさに気づき、素直に愛国心を持ちたい。