ある職場において、美人でも若くもないのに不思議な魅力をもった女性がいたそうです。
彼女の周りには、いつもとびっきりのイケメンたちが集まってくるというので、周囲の人がとても不思議がっていたそうです。
その秘密は、彼女がミーティングのときにいつも口にしていた口癖にありました。
最高のイケメンを引き寄せるフェロモン・ワード。
さて、それは、どんなすごい言葉かというと...。
「今日は、楽しいね」
私は思わず、「やられた!」と声を上げてしまいました。
それは、よくできたミステリーを読みながら、「まさかあの人が!」という意外な真犯人が出てきたときの、あの驚きに近いものがありました。
なぜ、この平凡そのものの言葉がそれほどすごい魅力をもっているのでしょうか。
だって、どの職場でも、ほとんどの人の口癖は、「ああ、疲れた」、「商売、あがったりだよ」、「忙しい、忙しい」、「景気わるいね」、「上司が頭でっかちでさあ」、「部下の呑みこみが悪くて」など、とにかく圧倒的にネガティブな言葉が多いはずです。
いつもそんな暗い言葉にとり囲まれていたら、自然と心だって陰気で、さえないものになるに決まっています。
そもそも、多くの人は「仕事は、遊びじゃないんだから、楽しいはずがない」という思いこみを抱いています。
そんな暗い想念がうずまく職場で、特別にいいことがあったわけでもないのに、いつも「楽しいね」っていう人がいたら、そこだけ不思議な光がぱっとさしてくる気がしませんか。
第一級の人物は、そうした場の雰囲気にとても敏感です。
だから、そんな女性のもとには、素敵なイケメンたちが集まってくるのです。
伊藤淳氏の『言葉には、なぜ現実を変える力があるのか?』(きこ書房)より抜粋