あるとき、講演会の後で、結婚してずーっと夫が好きになれなくて、夫を否定してきたという奥さんとお会いしました。
その方は、こういう状態ではいけないと思って、ありとあらゆる本を読み、精神的な勉強をしていく中で、ある人からこう言われたそうです。
「夫を変えるためには、まず、自分が変わることなんですよ」って。
「その意味が、自分の中に深く入ってなかったけど、今日、小林さんの話を聞いて、初めて理解できたように思います。
夫を変えるためには、まず、自分が変わることなんですね。
よくわかりました」とその奥さんは、とても納得したようにおっしゃったのです。
私は、こう言いました。
「それは、大きな誤解です。
私は『夫を変えるためには、自分が変わらなくちゃいけない』なんて一言も言っていません。
『夫を変える必要がないんだ』ということを言っています」だって、自分が変わっちゃえばいいんですから。
「夫を変えるためには、まず、あなたが変わること」なんていう論理ではなくて、あなたがすべてのことに関して、〈気にならない人〉になったら、問題が全部解決するんです。
もし仮に、相手を変えるために自分が変わったとして、二、三ヵ月経っても、相手が全然変わらなかったら、さらに苛立(いらだ)つでしょう。
もっとパワーアップして恨(うら)んでしまいそうです。
私が提案している解決策は、「その人の存在を全部認めてしまいなさい」ということなんです。
これを「受け容れる」と言います。
相手を変える必要なんかどこにもない。
その人を認めて、自分が〈気にならない人〉になったら、それで"終わり"。
ありとあらゆることに、気を遣うのをやめてしまうんです。
多くの人は、自分の価値の中に相手を連れてこようとして苦しむのですが、その人の良いところも悪いところも踏まえた上で、そのまますべて受け入れてしまえばいい。
すなわち、自分の心を広げる。
許容量、寛容度を上げるということです。
ニコニコしながら「世の中には、そういう人もいるよね」って、自分の価値観を押しつけないで〈気にならない人〉になる。
周りの人は、こういう人のことを、人格者と呼ぶんですけど、私は「人格者を目指しなさい」と言っているのではありません。
損得勘定で突き詰めていくと、すべてのことに鷹揚(おうよう)になって、イライラしなくなったら自分が一番ラクだ、ということなんです。
これを、「究極の損得勘定」といいます。
そもそも、宇宙にはイライラする現象があるのではなくて、イライラする考え方をするから、そのことにイライラしてしまうのでしょう。
小林正観さんの『楽しい人生を生きる宇宙法則』(講談社)より
他人と過去は変えられない。
事実は一つだが、その見方や考え方は無数。
自分の許容度、寛容度、それを人の器とも、、、、。