「義」「勇」「礼」
海外で日本人が発表し、世界でベストセラーになった名著があるという。
タイトルは『武士道』著者は、あの旧5000円札の肖像画にもなった、新渡戸稲造さん。
それは今からさかのぼること110年以上前の1900年、アメリカで1冊の本が出版された。
刊行されて数年のうちに、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロシア語ポーランド語など各国語に翻訳され、世界的なベストセラーとなった。
理由は、武士の高潔で気高い生きざまは、時代や国境を超えて、すべての人間の心を打つのではないかと考えられる。
新渡戸さんは、武士が重んじた価値として7つの徳目を説いた。
それが「義」「勇」「仁」「礼」「誠」「名誉」「忠義」である。
このうち、代表的な徳目は「義」「勇」「礼」の3つ
「義」。
義とは、「人として必ず守らなければならない道」のこと。つまり、正義である。
武士は何よりもこの義を重んじた。
「勇」。
武士は、恐れることなく敵陣に向かって突き進んでいくイメージがある。
しかし、意外にもこれは誤解。
武士の間では、向こう見ずな挑戦や後先考えない行動は勇ではなく、
むしろ「匹夫の勇(ひっぷのゆう)」として軽蔑されたという。
勇とは、ただ大胆に行動することではなく、「義」に裏打ちされた行動。
「礼」。
「武士道」は、好戦的で、死を礼賛する思想だと思われがち。
これも誤解。
勝海舟は、その生涯で何度も暗殺の標的にされたが、一度も自分の剣を血で濡らすことはなかったという。
意外にも武士の究極の理想は「戦わないこと」だった。
現代に武士はいないが、「温故知新」古きを温め新しきを知る。
もいいかもしれませんね。