知る、わかる、できる
解剖学者・養老猛司氏と物理学者・佐治晴夫氏の対談を収めた
『対談・「わかる」ことは「かわる」こと』という本にこんな話が載っているそうです。
あるとき、佐治氏は高校で理科を担当している先生方の研修会に呼ばれ、
宇宙に関する一般的な話をされたそうです。
すると講義後、立派な学歴と業績を持つ先生が佐治氏のもとにやってきて、
「先生が話されたことは全部知っている。それよりもビックバンが起こる前に、どんなゆらぎがあったか、そこのところの数学的な話が聞きたかった」と言ったそうです。
そこで佐治氏はこう答えたという。
「宇宙のことを知るということは、宇宙のことをあなたが勉強して知ることによって、あなたの人生がどう変わったかということをもって、知る、ということなのです。
あなたは生徒に、授業を通して彼らの人生をどのように変えられるかということを念頭において、地学の講義をされていますか」と。
そして「《わかる》ということは《かわる》ということである」と結ばれていたそうです。
その人の行動が《かわった》ことをもって、本当に《わかった》ことになる。
行動に示せなければ、わかったということにはならないのですね。
「わかった人」は、それが実際の行動につながっている人であり、
自分の行動の変革ができている人。
「知行合一」という知識と行動が一体の人。
行動の人は、影響力を持つ。
昨日、都知事選挙で当選した小池百合子氏は、そんな人なのかもしれませんね。