許しの心
あの松下幸之助氏が、奥様と二人で商売を始めてしばらくしたころのことだそうです。
商売がすこし順調に進んできたころ、従業員がふえてきて、7,80人になってきた。
そんな頃、その中に一人悪いことをする人がいたのそうです。
非常に信頼していた店員の一人でしたが、ちょっと会社のものをごまかしたという。
松下幸之助氏は、潔癖症というか多少神経質でもあったので、非常に悩んだそうです。
「“困ったことやな。あの男がそういうことをするとは思わなかったけれども、
いったいこれからどうしたものだろうか”」と、
その夜は一晩寝られずに朝まで悶々として悩んでいたという。
ところが、つづいて翌日の晩も考えているうちに、ふと心に浮かんだことが。
それは「この日本にいわゆる罪人と言う人が何人いるだろうか」ということ。
これは相当あるにちがいない。
だから、会社に日本人が7、80人いれば、1人以上は悪人とまではいかないまでも、
よくないことをするという人が出てきてもふしぎではないと気がついたというのです。
そう思ったら、心がふしぎにフーッと楽になった、肩の荷が下りた感じになったという。
それでその本人にはこれからは二度とそういうことはやめさせることにして、
訓戒だけにしておくことに。
「ゆるし」の気持ちを持てるかどうか、ということ。
他人に対してももちろん、自分に対しても「ゆるし」の気持ちがもてるかどうか?
それにより、心持ちが変わってくること多々あるのでしょう。