丹波のあじさい寺での光景
十月の中頃、三人連れの婦人が来られた。
その中のお一人が、庭の片隅に咲くコスモスの花を見つけ、
「まあ可愛い、こんなところで一生懸命咲いているね!
今日は、こんな可愛いコスモスに出会えてよかったわ。ねえ、皆さん!」
「本当、本当」とにこやかに、
おしゃべりしながら本堂の方に上がって行った。
それから間もなくすると、
違う三人連れの婦人が来られた。
そして大きな声で
「ああ、ここは六月のあじさいの頃でないとあかんなあ、
季節を間違ったなあ、残念残念」と、
そこに咲く可愛いコスモスの花を見つめ、
ブツブツ文句をいいながら本堂の方へ上がって行った。
こんな光景を見て、あなたはどう思うでしょう。
「同じ日の同じ時間に同じ物を見て」、全く違うとらえ方をするわけです。
もし、この二つのタイプの人が同じように人生を進んだとしたら、
全く違った人生になってしまうのでしょう。
何をしても「いいなあ、いいなあ」と生きていく人、
何を見ても何をしても「ブツブツ文句ばかり言って」生きていく人。
少々自分にとって不都合なことがあっても、できるだけプラスになるように、
そのことをとらえて生きていくことが楽で大切のように思います。
何でもないところに、「しあわせ」が実は潜んでいるかもしれません。
一瞬、一瞬の積み重ねが我々の人生です。
幸せを見つけるのが上手な人でありたいものです。