弟子がお釈迦さまにこう聞きました。
「お師匠さまは神通力にすぐれ、
人の前世や来世が見えるとのことですが、
私の前世はどんなものだったのでしょうか」
お釈迦さまはこう答えたそうです。
「そんなことは考えなくてよいから、
今日(こんにち)、ただ今、この刹那(せつな)を大事にして生きなさい」
弟子はしばらく黙っていましたが、再び聞きました。
「私の来世はどんなものでしょうか」
普通の人なら「わからずや」と呼ぶところでしょうが、
お釈迦さまはやはり静かに、
こう言いました。
「そんなことは考えなくてよいから、
今日、ただ今、この刹那を大事にして生きなさい」
アメリカの9.11の同時多発テロで、
有名になった、「最後だとわかっていたなら」という詩。
『あなたがドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしはあなたを抱きしめてキスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて
抱きしめただろう
あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが
最後だとわかっていたら
わたしはその一部始終をビデオにとって
毎日繰り返し見ただろう』
今、目の前にいる人を大事にし
今、目の前にあることを大事にすることが大切なのかもしれません。