イギリスで、
ホームレスの人たちに食事を無料で提供する「スープキッチン」という施設。
この施設で食事を作るのは家庭の主婦など、ごく普通の人たち。
ボランティア。
そのなかの1人の主婦はこんなことを言っていたそうです。
「スープキッチンに訪れる彼らと会うと、
いつも、『私は必要とされている』と思えるの。
その思いは、私にとっても大きな励みになるのよ」
ここで忙しそうに働く老婦人に、
施設を取材していたある人が「忙しくてたいへんですね」と声をかけると、
彼女は笑いながら、片手をブラブラさせて、こう言ったそうです。
「忙しいなんてとんでもない。
私の片手はいつも誰かのために空けてあるのよ。
必要とされればいつでも差し出せるようにね」
「スープキッチン」で働いた経験を持つ老婦人の言葉。
「あんなに楽しい仕事はなかったわ」
「誰かのために役に立っている」と実感できたとき、
その「仕事」は「楽しく、やりがいのあるもの」に変わる。
「働く」とは、誰かのために、
自分が持っている「何か」を使うこと。
「働く」とは、誰かのために、
自分の人生の一部を喜んで捧げることなのかもしれません。…。