死は考え過ぎるといけませんが、時々、それを思うことで「豊かな生」を手に入れることができます。
それ以前の自分と、それ以降の自分による対話がそこにあります。
長いのか短いのかわかりませんが、いわゆる人生という旅の中において、自分のお役目も励みながら、あるいはお役目を探しながら、感謝しつつ日々を全うする。
そのうちにゴールがやって来るという人生で必要なのは「幸福感」でしょう。
誰もが避けられない死というイベントを意識することで、限られた時間の中で豊かな生に向かって歩こうとする、私たちの幸福感はそんなところから滲(にじ)み出て来ます。
さらにそこで大切なのは、「人は死なない」という事実を知ることです。
今回の生で授かった肉体は滅びますが、私たちの魂は死ぬことがありません。
まずはそこに気づくこと。
そうでないと唯物論者のように現世利益にしがみついて単に死を怖がることになります。
この先もまだ数えきれないほど生まれ変わるというのに、今の生の利益にしがみつくなんて、これほどバカバカしいことはありません。
その仕組みがわかると、滲み出た幸福感の中に「また会える」という感情が生まれ始めます。
他界した大事な人や愛しい人とはあちらの世界で会えるし、次回の転生後も(前の生のことは覚えていませんが)違う役割で会えるでしょう。
そもそも大事な人や愛しい人は、いつも私たちのすぐそばにいます。
私たちが死を迎える日、つまり現世を卒業するその日まで彼らは優しい眼差しで見守ってくれているのです。
その仕組みを踏まえると、残りの人生を心配する必要がなくなります。
対人関係やお金の問題など、いろいろなストレスを抱えているにせよ、それも今回の人生において、自分に対する「課題」がそういう形で出ているだけの話です。
解決できないレベルの課題は絶対にやって来ません。
必ず解決のための糸口があります。
その糸口を探すことこそ、人生における最上の学びなのです。
臨死体験というテーマでも、この20年くらいの間に実にさまざまな立場の方々が講演や著書でその体験談を発表しています。
脳神経外科の世界的権威である医師エベン・アレグザンダー(元ハーバード大学メディカルスクール准教授)が自らの臨死体験を著書にまとめた本もベストセラーになりました(脳神経外科医が見た死後の世界・早川書房刊)。
向こうの世界の様子が詳細に描かれているのが興味深い点です。
レイモンド・ムーディやエリザベス・キュープラー・ロスなど、多くの実績を持つ欧米の医師たちが死後世界の実相を克明に語る向きは、海の向こうではかなり増えています。
しかし、私たちの住む日本ではそうした情報自体をまだオカルトと忌避する風潮が強いのも残念ながら事実です。
なぜ私がそんな突飛なことをここで言うのか?理由は簡単です。
人間は知らないことへの対処がこの世で一番怖いからです。
知らないこと、知らない人、知らない世界、知らない作法、知らない手続き、知らない知識...私たちが常に怖がり不信感を持つのは「未知のもの」です。
逆にそれらがわかると心の中にある恐怖心は消え去るのです。
東京大学医学部付属病院集中治療部部長、矢作直樹氏の『ご縁とお役目』ワニブックス「PLUS」新書より
長すぎかも。
でも深いですね。
そのままにしました。